万引き家族

まったく見る予定なかったけど機会があって見てきた。
事前情報一切なし。やはり事前情報なしに見るというのは映画の本来あるべき向き合い方だと思う。

あらすじ
家族が暮らしている。
父と息子は時々スーパーで万引きをしている。
家には祖母がいて年金(と呼ばれるもの)を家計に入れている。
父は日雇い労働。母はパートで働いている。
娘はJKリフレで働いている。息子は小学校に行っていない。
ある日、近所の家の外で放置されている少女を見つけ、連れて帰る。
食事をさせて帰すつもりだったが、虐待された様子を見かねて一緒に住むことになる。
一家は実は血が繋がっておらず、当面の金策と居場所のなさで寄り添う人々だった。
しかし血は繋がらずとも絆は強く、家族としか言いようのない慈しみに満ちた穏やかな生活を送っていた。
しかし、いくつかの原因が積み重なり、一家は崩壊を余儀なくされる。
ばらばらになった家族は、思い出を胸にしまってそれぞれの人生に歩みだす。

感想を箇条書きで。
・伏線というのか、様々な物事が並列に進む緻密な脚本だった。
・子役すげーと思った。エンドロールで監督の名前を見て、なるほどと思った。
・全体的に淡々と進むが、いくつかのシーンは鮮烈で美しかった。

この家族は狩猟採集を行っていた原始時代の一家を想像させる。
コミュニティとして何も間違ったことはない。
ただいくつかの点で現在の常識的に正しくないとされる事項に触れている。
それでも周りの住民は柔軟に一家の存在を受け入れている部分もあった。
だが、個人的な恨み、過去の罪、失職、万引きの失敗、そして誘拐により決定的に存続が不可能になってしまう。
しかし家族はお互いを庇い合い、失敗について誰も責めることはしなかった。
人間は柔軟なものであり、関係も多様である。
狭い見方でものを見るとはみ出してしまう人が出てくる。
でもきっとそれはその人たちのせいではないのだろう。