きっと、うまくいく
面白いという噂を聞き、アマプラで見た。
かなり面白かった。痛快さというジャンルでは☆5だと思う。
―
長い。
一つの物語のキリがついて、新たな謎が浮かび上がったところで、いよいよ締めかな?と時計を見たら、まだ半分でビビった。
そして恐ろしいことに、後半のほうが面白い。
―
ストーリーは奇想天外。ひねりが加えられていて結末を予測するのは難しい。
それでいて最後には多くの要素にオチがついてきれいに収まっている。
尺は長いのに展開はスピーディー。
3バカと学長を中心とした狭い範囲の出来事を描いているのに、それぞれの家族がしっかり設定されていて、連続ドラマを1シーズン見たような感覚。
ギャグはくどくなく、窮地に陥った3バカが機転を利かせて乗り越えていく様が面白い。
ときどき挟まれる歌と踊りも、ストーリーに即しているし下手糞じゃないので気にならない。
―
ラストの雰囲気と、可哀そうなドローン青年の印象から、ショーシャンクの空にを連想した。
高圧的な刑務所/大学のなかで自分の生き方を通す主人公は似ている。
教育のプレッシャーのなかでつぶされていく若者は車輪の下を思わせる。
―
なぜだかわからないけど、ファルハーンが父親を説得するシーンで爆発的に泣いた。
貧しいラージューの家族と違い、ファルハーンの家は中流で、一家の未来がファルハーンの肩にかかっているわけではない。
それでも父親がエンジニアに固執するのは、それがファルハーンの幸せにつながると信じているからだと思う。
ファルハーンも父親の行動が善意から来ているのがわかっているから、自分の心が写真家へ向いていることを心苦しく思い、抑圧してきた。
しかしランチョーの説得で、自分の心と向き合い、父親に訴えかけることが、傍から見れば些細な出来事だけれど、ファルハーンの人生を変えることになるだろう。
就職祝いに買ったパソコンを売ってカメラを買おうとする父親がいとおしい。
ボヘミアン・ラプソディ見たときもフレディが実家に帰ったところで泣いたし、自分の琴線がここらへんにあるのかもしれない。
―
ピア役の人は踊っても様になるし喋れば面白いし存在感があってよい。
常識人の役で、基本は学長の側だが、娘として父親をたしなめることもできる。
それでいて、学長の娘として人生を縛られている。
登場人物は誰もがそれぞれの歴史とそれぞれの問題を抱えており、それは自分で乗り越えなければならない。
そこにランチョーがいて、鮮やかに生きていたから、周りの人も触発されて乗り越えることができた。