プレステージ

良いマジックの備える三段階。
なんでもないことを観客にわからせる「確認」
なんでもないことから何かをひきおこす「展開」
いくら考えてもなんでもないとしか思えないのが「偉業」

ちょい意訳。
これは面白い映画だったよ。だが観客を選ぶとは思う。暗いし。
サブタイトルを付けるとすれば
プレステージ 〜 テスラさんはとんでもないものを発明していきました 〜

映像はきれいだし、19世紀ぽいのもいい感じだった。だけど最初のほうは、そこは違うだろ、という点が何箇所かあった気がする。クリスチャン・ベールの髪型は当時の流行としてどうなのか、とか。ただし観てるうちに気にならなくなった。
二人の争いを観ていると、恐竜の化石発掘争いで有名なコープとマーシュを思い出した。
また映画全体の壮麗&悲惨な雰囲気からケネス・ブラナーフランケンシュタインを思い出した。
一つのことに全身全霊でのめり込む男たちの争いっていう、なんつーかロマンですなぁ。ノスタルジーですなぁ。

この映画はテレビCMでMrマリックが出て「私もだまされました」みたいなことをのたまっていたらしいのだが、私は最近テレビを見てないので一切見ていなかった。
また、監督はメメントという映画で有名な、ひねりのある脚本好きらしいのだが、それも観た後に知ったし、そもそもメメント観てないし。
映画雑誌でビジュアル絵を見て、これ観たい、と思っただけの、ゼロに近い予備知識で見ることができた。
結果的に、これは非常に幸運なことなんだなぁと思った。

映画を観た後ざっとネット上のレビューを見たのだが、高い評価を付けている人はいたが、話が難しいなどの理由で結構評判がばらけているようだ。
だが中には、「オチが大したことなかった」とか「映画の途中でネタわかっちまったツマンネオレSUGEE」みたいな感想が頻繁に見られた。
私が思うにこの映画って最後のオチにそんなに重きを置いていない気がするんだが。
むしろ最後のオチでひとまず納得して、映画を初めから思い起こして、数多くの伏線が見事に利いてることに気付いて嘆息するもんだと思うた。

ていうか途中でネタがわかったって言ってる人の考える最後のオチって二人一役のほう? それともフエルミラーのほう?
前者は正直私は気付かなかった。しかし後者の方を言っているなら、むしろ途中で気付かない奴がいるのかと小一時間問い詰めたい
もしこの映画を見る少なくない人が、この映画はシックスセンスのようなどんでんがえしを期待してみたのなら、そしてその理由が宣伝文句やCMにあるのなら、その広告戦略は大失敗だったと言わざるを得ない。
素直に見れば深いし面白いと思うよ。暗いけど。