サーバーが死んだ

自分ちにLinuxのサーバが1台あった。
サーバといっても大したものではなく、低消費電力のCPUにディスクをつけて、主にファイルサーバとして使っていた。
ファイルサーバなんて何に使うのと思うかもしれないが、同じファイルをPCで見たり、スマホで見たり、便利なこともあるんだ。
そして自分にとって初めての自作PCだった。
組んだのは2007年。VIA社の低消費電力CPU、C7を積んだマザーボードに1ギガのメモリを乗せ、当時ぶっ壊れたデスクトップPCのHDDをつなげるところから始まった。
2005年に出たMac Miniに憧れ、省スペース省エネのマシンが欲しかったのだが、初めてということもあり、拡張性という言葉に貧乏人根性が釣られた結果、ミニタワーのデカいケースにMini-ITXのボードをちょこんと乗せる、アンバランスなマシンが爆誕した。
その後、HDDを増設したり、OSをSDDにインストールしたりしつつ、10年間動き続けてくれた。
ちなみにOSはLinux。インストールした時はFedora Core 5で、半年に1回のアップグレードを繰り返し、今はFedora 25だ。

さて、ある日仕事から帰ると、共有フォルダにアクセスできない。24時間つけっぱのはずなのに。
こういうことは時々あり、単に再起動で治るケースがほとんどだが、HDDがいかれた可能性もある。
おもむろに再起動する。あ、ダメだ。起動途中でエラーになる。
まずは故障個所を切り分けなければならぬ。
ディスプレイを見ると、DMA Errorとか出ている。ディスク周りのエラーだ。
Linuxのレスキューモードで起動し、fsckをかけてみる。多少のエラーはあったが修復した。
smartctlで、ディスクの自己診断をかけてみる。正常らしい。
それでも再起動するとディスク周りのエラーで失敗する。
Bus Errorというエラーも出ていたので、SATAケーブルか、マザーボードの問題か?
ここまで重症なのは自分でも初めての経験のため、ネットを調べながら試行錯誤したが、決定的な原因が見つけられなかった。

2,3日考えてわからなかったので、最悪マザーボードがおかしいと仮定して、マシンを組み直すことにした。
さて、自分はハード方面は疎いので、最近の自作PCの勉強から始めた。
まずCPU。主にファイルサーバに使うだけなので、高性能よりは低消費電力を重視したい。一般のマザーに低消費電力CPUを乗せるよりも、オンボード(CPU付きマザーボード)の方が低消費電力を狙えるようだ。
メモリはノートPC向けのものが省電力に良い。
ケースに電源が組み込まれたベアボーンキットをいろいろ探した。Intelがnucという小型PCの規格を打ち出していて、それに近いキットがいろいろ売られている。
しかしだ、こういうものは2.5インチドライブ1個しか積めない。拡張性は皆無。
ものすごい迷ったのだけど、結局ケースと電源は今使っているものを引き続き使うことにした…。
ということで、今回選んだのは1.6GHzのCeleronを搭載したASRock社のマザーボードJ3160B-ITX。
ITXのコンパクトなボードに低消費電力のCeleron。それでもCore 2 Duoくらいの能力はあるらしい。
SATAポート2つと、USB2ポート、USB3ポート、HDMIポートがあるのも安心だ。
デュアルモニターにも対応している。使わないけど。
これに、メモリ2Gx2枚を乗せる。
追加で1TBの2.5インチHDDを購入し、手持ちのケースに組み込んだ。
10年間ありがとうVIA EPIAマザーボード
IDEインタフェースがなくなってしまったので、3.5インチDVDドライブは使えなくなってしまったなぁ。
この10年で一番変化したのはドライブ周りのようだ。もうIDEの平ケーブルを使うことはなくなって、ケース内はずいぶんすっきりした。

USBからFedoraインストーラを起動し、まずはメモリチェック。エラーなし。よかった。
10年前は初期不良があって店に言って交換してもらったものだ。
追加したHDDにFedora 25をインストール。
古いSDDをつなぎ、できるだけデータを回収する。
SDDは容量が40GBで、OSとユーザーデータを置いていた。
ユーザーデータの一部を読み込もうとするとIOエラーが起きる。ああ、やっぱりSDDがダメだったのかな。
ディスクの容量を確認した時、大変なことに気づく。
空き容量1.4MB。
あっ・・・・、これディスクフルだ。

事件の全貌はこうだ。
40GBのSDDにOSをインストールしたとき、まだ30GBくらい余裕があったので特に気にならなかった。
それから3年、OSのアップデートや、ホームディレクトリに何も考えずにデータを置き続け、じわじわ容量を圧迫していった。
極めつけはデータベースだ。最近趣味のプログラミングでネットから取得したサイトのデータをデータベースに突っ込んでいた。
データベースのデータ領域は、空きのあるHDDに置くべきだったのに、考え無しにSDDに置いてしまった。
そうしていつしか空き容量はゼロに迫り、OSの稼働に必要なファイルも作れなくなった結果、システムを起動できなくなり、SDDのファイルシステムも壊れてしまったのだ。
これが僕たちの真実だ!

えぇ・・・。マザーボードまだ使えたじゃん・・・。
まあ、でも全面的に性能アップしたし、新しいインタフェースにも対応できたから、いいよね。
これでもう10年がんばってみよう。