サイダーハウス・ルール

1985年の小説。映画化されたのは2000年。
映画はかなり前に一度見た気がするが、内容はほとんど忘れてしまった。シャーリズ・セロンがきれいだったことと、主役がスパイダーマンになる前のトビー・マグワイアだったこと、そしてローズ・ローズのお腹の子の父親が○○だったことしか覚えていない。ようするに見た当時はさっぱり理解できなかったということだ。
今しがた原作を読み終わって、映画のできがどうだったのかなんて覚えているわけがないのだが、一つ言えることは、「こんな話、2時間ちょいの映画に納められるわけねーだろーが!!」 こんなボリューム(文庫本500ページ×2冊)の内容を2時間で完全に語って理解させて感動させるなんて不可能だ。舞台は大まかに3つあるし、時間も15年ある。サブキャラクターであるラーチ医師の若い頃を入れるともっとだ。どんなに頑張っても70%くらいしか盛り込めない。
でもである。映画はアカデミー賞で最優秀脚色賞を取った(助演男優賞も)。70%でだ。まあ、脚色賞なので冗長な部分をばっさり切り落として一本の映画にまとめた手腕が評価されたと言えないこともない。映画の内容を覚えていないのでネット上のあらすじを見て判断するに、ラーチ先生の若い頃を省略、メロニィがいない、シニアがいない、15年とエインジェルの成長がカット、などの違いがあるようだ。シニア・ワージントンはいなくても何とかなりそうだけど、メロニィがいないのはどうなのか。メロニィは孤児院の負の面の象徴であり、また15年後にみじめな状況に陥っているホーマーの尻を叩く大事な役である。映画版ではこれが欠けたことにより、孤児院とホーマーの関係が、父親代わりのラーチとの愛情関係にすりかえられているように思える。何度も言うが、私は映画の内容をさっぱり忘れたので、これらの言及はまったくの憶測にもとづいている。すみません、映画もう一度見ます。。。

何を言いたいかと言うと、映画版では原作のかなり重要な要素がカットされているので、もし映画を見て感動したのなら、ぜひ原作を読んで欲しいということだ。原作はかなりヘヴィだ。 今ならブックオフあたりで上下巻が何セットか在庫があるかもしれない。私はそれぞれ100円で入手することができた。ウマー

この作者は主人公の一生を長く描ききることが多い。そして登場人物も多くエピソードも細かいため、文庫本で言うと大体厚めの上下巻になる。また取り上げるエピソードも、唐突な死や、冗談のようなめぐり合わせがあるかと思えば、たいして意味もないような話が何度もしつこく繰り返されたりする。その場だけの小ネタかと思いきや、物語の後半でリフレインされるとストーリーに重要な意味をもつようになる。その絡み合いから作られる全体の雰囲気は、もはや夢物語(ファンタジー)の域に達している。

内容について書こうと思ったけど、疲れてきたので次回に。
次回予告「ファズィ医師の異常な愛情〜または私は如何にして爛れた関係を止めて エーテル 神の業をものするようになったか」
ホーマーの決意と選択に涙が止まりません。