最近見た夢・後半

終電といってもこんな山の中まで電車は通っていない。
最寄り駅までは30分間バスに揺られることになる。
そして最寄のバス停というのが、非常に不便なところにある。
事務所2階からやっとその全貌を見通せるかという赤茶けた峡谷、その底、100mほどの幅の平地にぽつねんとバスの標識が立っている。
たどり着くためには、まず標識を横目にしつつ、道路に沿ってまったく別方向に100m歩く。
すると谷底へと降りる白い階段が見えてくる。
斜面に沿って作られた急階段は、まるで立てかけた梯子のようだ。
これをゆっくり、ゆっくり、下ってゆく。
落ちたら命があるのかどうか、いまいち自信がない。
谷底へついたら、また100m、逆に歩くとバス停に着く。
これで15分かかる。
その道程ずっとバス停は見えているのである。
明るいうちははるか地平線のむこうに疾走する鉄箱のあげる砂埃が見えたりして、暗くなるとあたりの静けさの後ろにかすかな地鳴りが聞こえる、その後はもうバスとの競争である。
平地は走る。
階段は2段抜かしだ。
前傾姿勢で走り抜けてやる、乗り過ごしたら次は30分後だ!

前日の雨でぬかるんでいる大地を駆け抜ける(これはもう道ではない)。
何度も足をとられ、着古しのジーンズはひざまで赤黒い泥がこびりついている。