桜の美しさ

桜が咲いている。
きれい、と言いたいところだが、
北海道人の私は正直よくわからない。
昨日家の玄関のドアを開けたら
木があった風景が一面真っ白になっていた。
4月にしては風が冷たく
枝に雪がこんもりと積もっているのだと思った。
私は目が悪い。
おまけにわずかに色盲で、薄桃色がとくに見えない。
そのため枝が見えないほど咲き誇る桜の花は
クリスマスか生クリームの印象を受ける。
古の人曰く、「咲き誇る花は散るからこそに美しい」
それは同意する。
一枚一枚ゆっくりと風に舞う花びら。
黒く湿ったアスファルトに蒔絵のように散っている。
近所の川には、見事な桜が枝を水面にのばしていて
その下には散った花弁が白い渦を描いている。
自転車を止めてもう一度眺めた。
それは汚泥からわき上がる細かいあぶくだった。
とにかく私は目が悪い。