あなたに似た人

今読んでる途中。
途中の「皮膚」が非常にゾクゾクしたので感想を書きたい。

おっさんは酒場で一人酒を飲んでいた少年に興味を持つ。
聞いてみると故郷が自分とすぐ近くではないか。
すっかり気に入ったおっさんは少年を妻の待つ家に招く。
少年は若い画家であった。
おっさんは刺青師で、時代は2つの大戦の間頃、刺青を入れて欲しいという海兵たちに事欠かなかった。
久しぶりに仕事で大金を手に入れたおっさんは、ワインをどっさり買って、妻と少年とで乾杯する。
ちびちびやりながら、おっさんが思いついたのは、自分の背中に少年が絵を描くということだった。
刺青の技術を少年に教え、背中いっぱいに妻の姿を描いてもらった。

時は流れて、おっさんはパリの画廊の前で立ち止まった。
少年はずっと前に家を出て行き、妻は戦争で殺されてしまった。
戦争も終わり、刺青だけではとても食っていけない。
ふと見ると画廊に飾られているのは、以前どこかで見かけたような画風だ。
おっさんは画廊へと入っていった。

話の流れが、いかにもありそうって感じで、すげえよくわかる。
背中に刺青を入れて、署名をした時点でほとんど話は見えているんだが、
果たしてその通りに進むかは実際に読んでのお楽しみ。
勢いで上半身裸になり絵を見せ付けてしまったおっさん。
画廊の主人は大金を出して買おうと言う。
カナリア色の手袋をした男は別の提案をする。
この提案がおかしくておかしくて、ずっと笑いがこみあげてしょうがなかったが、
その裏でずっと背筋がゾクゾクしっぱなしだった。
いかにもありそうな提案、いかにもありそうな野次馬。
俺もおっさんの幸せを切に願う。