神々の試行強制(try force)

えらく久しぶりに長期の休暇をもらいまして、帰省も旅行もなくひたすら怠惰な日常を満喫しています。
しかし外の天気は曇りときどき雨。
網戸にとまったセミも全力で鳴けず、どことなく欲求不満気味に見えます。

朝起きて、家にある食パンをかじりつつ、ぼーっとしていたら午後です。
長風呂に入り、午後3時。
昼を食べていないので空腹を感じますが、家に食糧がないことに気づきます。
コメはあるので餓死はしませんが、なんかこう、肉的なものが食べたい。
外は雨。買い物に行くのめんどくさい。
でも行かねばどうにも腹が減る。

しかたないと、玄関に立てていたビニール傘をとり外へ。
ちなみに傘はコンビニの500円傘で、何本か玄関に立てかけています。
チャリにまたがり傘を開く。
するとなにか黒いものが飛び出し、チャリーンと音を立てます。

遡ること半月前。
帰宅して玄関のカギを開け、家に入ったところでカギをなくしたことに気づきました。
信じがたいかもしれませんが、玄関のカギを開け、家に入る数分の間に見失ったのです。
玄関にある靴や棚、もちろん置き傘の中も調べましたが見つかりません。
玄関の外に転がった?途中で落とした?記憶違い?
あらゆる可能性を考えましたがカギは見つかりません。
しかたなく、半月の間、外出時も部屋にカギをかけずに過ごしました。

さて今日の話、ビニール傘から転がり出たのはもちろん部屋の鍵。
どういう偶然なのか、半月前の帰宅時にカギを傘に引っかけてしまい、その後の探索でも見落とし続けたようです。
よかった!これで鍵交換代といくらかの手間が節約できた!
私はカギを思いっきり高く掲げました。「パパラパー」。ゼル伝の効果音が聞こえます。

現実世界のゲームクリエイターたる神様は、ちょっとしたイベントを仕込んだのです。
日々をぼんやり生きる私の心に揺さぶりをかけるべく、家のカギをなくすことを。
そしてそのカギを玄関の傘の一本に隠しました。
私が雨の日も面倒くさがらずに傘をもって外出する、それを何度か繰り返してようやくカギを取り戻せるように。
そうして今日という、暇で暇でしょうがない雨の日に、私はミッションを達成したのでした。