ファイナル・カット

遠くない未来、カッター(編集人)という職業があった。
その仕事は、故人が生まれてすぐに埋め込まれた記憶チップから記憶を読み取り、2時間ほどの映像に編集すること。
故人にゆかりのある人々が集う、リメモリー(思い出し会)という会でその作品は上映される。
優秀なカッターのアランは、有名な弁護士の記憶の編集を引き受ける。
その人物は記憶チップを開発した会社の弁護士で、生前からスキャンダルの噂がささやかれていた。
編集マシーンとして感情をはさまずに、"故人を偲ばせる映像"を編集するアランだったが、その中に子供の頃見知った忘れられない顔を見つけてから、次第に自らに課した編集人の掟を逸脱してゆく。

わりと淡々とした映画だが、面白いと思った。
台詞に印象的なものが多かった。
(弁護士の娘が、父の契約書にクレヨンでいたずら書きをしたことを忘れさせてくれるか、と訊ね、アランはできる、と答える。それに続いて)
"... But, make sure you don't."(でも君は忘れないようにね。)
内容を見ると分かるが、別の意味にもとれてしまう。
追記
でも忘れるな、と言われるのも結構つらい気がするなぁ。
子供の他愛無い質問とそれに対する返答、ぐらいの意味しかないのかもしれない。
勘ぐりすぎか。
でもあそこの流れは何らかの作為を感じる。

映像の中に探し人を見つけたアランが、同業のセルマをたずねたとき、
セルマはアシスタントのマイケルと口論中だったが、アランが2人で話したいというので、
 セルマ :ちょっと店に行ってタバコを買ってきてくれない?
 マイケル:もう8箱も家にあるよ。
 セルマ :じゃあ行って返してきてくれないかしら、可愛いマイケル。
なんでもいいんかい。

夢を集めた映像を見せるシーンは良かった。
もっといろいろ見てみたい。
ニューシネマパラダイスぽい。

エンディングがいまいち後味悪い。
よくわからん。

死んだ後他人に記憶をほじくり返されるのってなんだか嫌な気がする。
本人は死んでるからまだしも、周囲の人間も変なものが出ないか冷や冷やだと思う。
弁護士とか社長とか重要な立場にいる人は、別の面で問題だろう。
そんな大物の記憶を過去に何十も見てきたカッターの記憶となればなおさらだ。
生きている間に記憶を引き出せることができれば、いろいろ用途があるんだけどな。
アルバムもiPodも必要ない。
すべては頭に記憶されてるはずなんだから。

ロビンウィリアムスいいなぁ。
ガープの世界(青年)→グッド・ウィル・ハンティング(中年)→これ(初老)
と、私の中ではいい歳のとり方をしている。

なんか、台詞がここにあるみたいなんだが。→ http://www.script-o-rama.com/movie_scripts/f/final-cut-script-transcript-robin.html