頭の体操

あなたは業務機械を開発するエンジニアです。現在の仕事は紙コップ入りの飲み物を販売する自動販売機の設計・保守です。
取り扱うメニューは、水、お湯(これらは無料です)、冷たいジュース、温かい/冷たいお茶、温かい/冷たいコーヒーの7品目です。冷たい飲み物には氷が入っていると嬉しいですね。

新米でやる気にあふれたあなたは早速設計書を書いて上司に見せに行きました。
「販売機の中に7個のタンクを配置し、それぞれに飲み物を満たします。そのうち3つには保温器をとりつけ、常時加熱しておきます。ぬるいコーヒーはいただけませんからね。
 お客さんがコインを入れたら、カップに飲み物を注いで出します。冷たい飲み物の場合は氷もいれましょう。
 定期的にサービスマンが販売機をまわり、量の減ってきたタンクに飲み物を補充します。利用状況にもよりますが、人気のコーヒーに合わせると、一日一度くらいでしょうか。」
あなたの上司はしばらく黙って書類を吟味していましたが、やがて口を開きました。
「おおまかな仕組みはこれでいいだろう。ただ、サービスマンが毎日補充に行かなきゃならないというのは良くないな。うちで扱っている販売機は少なくないし、人件費が馬鹿にならないんだ。2,3日に一度にできないかな?
 タンクの容量を増やせば、補充の回数も減らせる。しかし販売機の大きさにも限りがあるからな。タンクの個数を減らせばうまくいくかも知れないね。そしたら製造コストも抑えれるしさ。
 そこらへんをもう一度考えてみてよ。」
 さて、どのように改良すれば、上司もサービスマンもお客さんも満足させることができるでしょう?

私が見たある販売機はこんな策を使っていました。
お茶の粉というものがあるんですね。水にも溶ける粉です。
これを使うと、お茶のボタンを押したときは、カップに粉を投入し、水/お湯を注ぐだけです。
これで温かい/冷たいお茶のタンクを撤去することができます。粉は液体よりはるかにかさばらないので。
粉の種類を増やせばどんどんメニューを増やせるのもいいですね。

私が見た別の販売機はさらに驚くべき策を使っていました。
冷たいお茶を飲むとき氷が浮いているんですが、たまに氷が妙に小さい日があるんです。
またある時は、氷が浮いているのに、手で持つとほのかに温かいということがありました。
しばらく考えて、ようやく理解しました。

これ、温かいお茶に氷をぶち込んでるだけやん。。。

お湯だろうと、お茶だろうと、コーヒーだろうとお構いありません。
氷を大量にぶち込めば、一瞬で冷たい飲み物になるんです。
これで、水、温かいお茶・コーヒーの3タンクを撤去することができました。ついでにもう一品目、ホットオレンジジュースも追加できそうな気分です。やりませんが。
お茶パウダー、コーヒーパウダーを併用すれば、もう2タンク減らせますね。
結果、必要なタンクはお湯とジュースのみ。
大きなタンクを採用して、補充回数もぐっと減らすことができました、とさ。