宇宙インターネットの実現に向けて

地球規模のコンピュータネットワークはインターネットとして十分に実用化されているが、これを太陽系・銀河系規模に拡大した場合、さまざまな新たな問題に直面する。

主要な問題の一つとして通信の遅延がある。太陽から地球への通信は光の速さをもってしても9分ほどの伝送時間がかかる。冥王星までだと4時間ほどである。これほどの遅延があると為替取引や実況スレへの投稿など即時性を要求される行動には著しく問題がある。それを解決するための方法の一つとして符号予測訂正という技術の実用化を急ぐ必要があるだろう。

符号予測訂正とは、過去の通信の異常を検知して訂正する誤り検出訂正という技術を未来に拡張したものである。要するに011010という通信を受け取った場合、次に高い確率で0を受信するであろうと予測して、コンピュータの利用者にタイムラグを感じさせずない応答を返す技術である。たとえば利用者が購入した株が暴落した場合、その事実を冥王星にいる利用者に送信するとともに、「利用者は損切りのため株を手放すであろう」と予測してあらかじめ株の売却を行うことが出きる。この予測についてはビッグデータの解析やベイズ理論の応用で高い確率で行うことができるようになるだろう。

技術的に難しいのは誤り訂正である。株の例でいえば、暴落の報を受け取った利用者が万が一、株を売らなかった場合、利用者の意識と実際の口座状況に誤差が生じるが、これをどのように解消するかということである。解消の方法は大きく分けて「嘘つき法」「しらばっくれ法」の2つがある。「嘘つき法」は誤差を隠ぺいするためにさらなる嘘を重ねる方法で、株の例では誤りを検出した以降、利用者の損分を打ち消すように株価の情報を少しずつ改ざんして伝える方法である。「しらばっくれ法」は誤差をありのまま利用者に提示し、利用者に疑念を持たれても徹底的に否定し人格攻撃やサブリミナル刷り込みなどの手段で利用者に受け入れさせる方法である。これらの方法の実現可能性はすでに論じられているが、人道的にあまりよろしくないのでは、といった論調で否定的に語られることが多い。

最近注目をあびているのは量子誤り訂正という量子論の特殊な効果を用いる方法だ。株の例では、暴落を検出するとシュレディンガー・オペレーションと呼ばれる売りか買いかが判断できない取引を行う。そして利用者に対しては売却した場合としなかった場合の2通りの状態を量子的に混合させた状態で報告する。報を受けた利用者は報告メールと相互作用し、「売却に喜ぶ利用者」「売却に悲しむ利用者」「無為に喜ぶ利用者」「無為に悲しむ利用者」の4つの状態に分岐する。この中で最も満足度の高い1状態を残して他の分岐宇宙を反物質爆弾で吹き飛ばせば、常に利用者に高い満足度をもたらすことができる。また報告メールの状態の確定に伴い、もつれあい状態にあるシュレディンガー・オペレーションが約定し、実際の口座状況の誤差も生じない。

この方法はまだどこにも発表していないが2、3か月のうちには論文の形で学術雑誌に受理されるであろう。そのときの理解の助けとなれば・・・・・・おや、誰か来たようだ。


かゆ うま