ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

ヘドウィグはバンドのボーカルとしてバーで歌っている。
ノーシスは商業的に成功したロックミュージシャン。
以前ノーシスことトミーにロックを教えたのはヘドウィグであり、愛し合った二人は共同でいくつもの曲を作った。
今ノーシスがヒットを飛ばしている曲はほとんどがそのとき製作されたものだったが、クレジットにヘドウィグの名はなかった。
その抗議のため、そしてノーシスに喧嘩を売ることでバンドの知名度を上げるため、そしておそらくは多少の未練のため、ヘドウィグとバンドはノーシスの後を追って各地を点々とする。

以下ネタバレ。


ヘドウィグは自分の人生を語る。
ヘドウィグは男性で、ハンセルという名でベルリンの壁の東側に生まれた。
ラジオから流れるアメリカのグラムロックが何よりも好きで、近所迷惑のためいつもオーブンの中で歌っていた。
ある日ハンセルは西側の軍人と恋に落ちる。
軍人の妻としてベルリンを抜け出しアメリカへ渡るために、ハンセルは性転換手術を受けるが失敗、1インチの隆起が残る。
ヘドウィグと名前を変え結婚し、アメリカに渡るも1年で破局
この頃からバンドを組み、以前から好きだったロックを歌うようになる。
まだ少年のトミーと出会い、ロックの音楽からスタイルまで全てを教える。
ヘドウィグがバーで歌っているのを知りトミーはその才能を愛するが、手術の失敗痕に気付きヘドウィグを拒絶する。
その後ヘドウィグのバンドは知名度をあげるもメンバー同士の関係が悪化する。
絶望したヘドウィグだったが偶然トミーと再会、トミーも好意を見せたが、交通事故を機にマスコミに発覚するとノーシスは関係を否定する。
ノーシスは歌う。
 僕が子供で何にもわかっていなかったことを許してほしい
 君はどんな男よりも女よりも偉大で
 君から受け取ったものがどんなに大きいかが今わかった
 君がこのふざけた街を 初めて見る素晴らしい何かに変えた
 君は幸運に見放されたと思っているのかもしれないけど
 きっとそんなものは無い 神秘の企みも運命のカタワレも
 君は今までもこれからも ふざけた世界で一人ぼっちなのだろう
 もし他に良いのがないのなら 僕の声を追っておいで
ヘドウィグは女装のかつらを外し、ノーシスの扮装で返歌を歌う。
終わり
http://www.rockymusic.org/showdoc/hedwig-play-script.php

本編を観たときはそんなに感動しなかったが、今脚本見ながらあらすじ書いてたらこれは最後のあたりが結構深いな。
ヘドウィグが子供の頃から憧れ追い求めたものは変わっていなかった。それを最も投影されたのがノーシスだった。
身もふたもない言い方をすれば、東ベルリンもゲイも手術に失敗したこともヘドウィグの孤独を特徴付けるための材料にすぎない。
ファンタジー成分が濃厚でジョン・アーヴィングぽい。ていうかガープの世界っぽい。