永遠の仔

小児病院精神科で知り合った梁平、笙一郎と優希。
卒業そしてある事件を境に三人は別れ別れに。
互いに求めつつも距離を置いて来た三人が17年ぶりに出会うとき、
心の底に抑えていた父殺しの記憶が浮かび上がる。

老人介護施設の施設長は言う。
自分の生活を立てる「家事」、次の世代を育てる「子育て」、先の世代を看取る「介護」、
これらを免除されるのは子供だけではないか。
そういう意味で立派な大人は少ない。われわれは未熟だ。
だからこそ幼子同士で協力することが必要なのではないか、と。

相手を思うゆえに無理をしたり、嘘をついてしまう。
そうした嘘が暴かれるとさらに多くの人が傷つけられる。
苦しみはなくなるどころか増えるばかりだ。
ただ、傍に等身大の自分を認めてくれる人がいるだけで、薄めることはできるのだろう。